「それでも夜は明ける」・・ アカデミー賞映画を観た。

先々週に観た映画ですが、これも記録として、忘れぬうちに書いておこうと思います。
先月でしたか、発表されました、本家本元のアカデミー賞、作品賞に選ばれたのが、これ。
もし、「ゼロ・グラビティ」なんかが取っちゃったら、どうしましょうって思ったけど、やっぱり映像技術より、
中味で選ばれましたかね。  確かにアカデミー賞と唸らせる作品でした。 
 
 
お話はー っとまず、私はこの映画観るまで、奴隷制度時代のアメリカに「自由黒人」なる存在があるのを
知りませんでした。  南部と北部じゃ、やっぱり違うんでしょうかねえ。
この主人公は、その「自由黒人」。  バイオリン奏者として一芸に奏でたものだからか、自由証明書なる
ものを与えられ、その家族もまったく白人と同じ暮らしをしていました。  こういうのってどうなんでしょ?
周りにはやはり奴隷として、白人のご主人様の家で働く黒人が当然いる中、同じ黒人なのに、白人と
同じように暮らしてる・・・  なんか複雑じゃないですかねえ・・?  自分は幸運だと考えなかった?
 
しかし、それがある日、とんでもないことで人生がひっくり変える。  奥さんが子供を連れて外泊中、
一人で暇をもてあましたか、主人公ソロモンさん、見知らぬ男のうまい話にのり、一緒に酒を飲んでたとこ、
睡眠薬を飲まされて・・・・ 気がつけば後の祭り。  拉致されてそのまま南部に送られてしまうのでした。
 
あ~ だから、そんなうまい話にのっちゃいけないよ、 どっか油断しすぎてたよね~
しかし、怖い話だ。  これで彼はー  家族と分かれ、地獄の12年を過ごすことになるのだから。
 
まあ、それからが本作の見所じゃあるんですが、これが実話であるが故に痛すぎる、重いです。。 
 
最初のご主人はまだよかった。  演じるのがあの、ベネディクト・カンパーバッチさんですから。
黒人たちの扱いにも、どこか優しいし、特に一芸に秀でたソロモンには、目をかけたみたいです。
でも、だからって彼を助けてくれるとこまではいかない。。  聖書では平等を説く牧師さんでも結局、
黒人奴隷を使っていることに変わりはないのです。。
 
そしてどこにも、性格の曲がった、自分より弱い立場の人間には、悉くえらぶって、意地悪くあたるやつが
いるものです。
まだ自由黒人としてのプライドがあったか、ソロモン、屁理屈並べて苛める彼に意見してしまい、当然の如く
怒りを買うんですが、またそこでなんと彼をボコってしまったのよ。
これって、絶対しちゃいけない。。  なぜなら・・・・  
 
 
ソロモンは、白人仲間の報復リンチにあい、縛り首にされ、危うく命を落としそうになる。
助けてくれたのは、監督官だったのですが・・・  これがまた、なんと白人たちを追い払っても、縛り首は
解いてくれないのですよ。。。   えっ、何で?!って感じ。
ソロモンは、知らせを聞いて、駆けつけたご主人のフォードが縄を切るまで、ほっとかれるのです。
 
その間、南部の、のどかな午後の時間が流れるのです。  そう、なにげにフォードの奥さんも見てるし、
他の黒人たちも見てるのに・・  誰もソロモンを助けようとはしないのです。
ソロモンだけは必死に足先を地面につけ、なんとかなんとか生きる為に踏ん張っているんですよ。
これが前半の衝撃シーンだったかもしれません。  のどかな風景とのコントラストがすごいです。
 
 
そしてこの後、フォードさんは・・・ ソロモンの為とは言いながら、自分の保身のためにも、ソロモンを
他の白人に売るのです。   そして次のご主人がー  フォードさんとは真逆の・・地獄からの使いか。
エップスを演じるマイケル・ファスベンダーさんですか、いや~ 憎々たらしくよかった。
 
この後も目を覆いたくなうよな、こんな残酷なことをフツーの人間ができるのかってシーンが続きます。
まさに黒人たちは白人の奴隷、家畜。。  いや家畜だってもっと大事にされるでしょう。
この恐ろしく辛い12年をソロモンさんは生きるのです。。  ただ家族にもう一度会いたいと。。
 
 
まあ、最後はわかっているものの、こんな絶望的な境遇の中で、どう生きるのか、ずっと見入ってしまいます。
 
ただ、この主人公もそうでしたが、同じ黒人の中でも、ご主人様の当たりハズレもあり、中には、ご主人に
惚れられ、後添えになってしまったような幸運な(?)黒人もいたりと、ちょっと一味変わってました。
人生いろいろ。。。  でも大方の南部の黒人たちは、南北戦争が終わるまで奴隷として不遇で過酷な人生に
翻弄されたのでしょう。。
 
 
パッツィーって女性が出てくるんですが、この女優さんも、まさに体当たり演技がすばらしかったです。
ソロモンとも心を通わせ・・・ 気になっちゃいましたが、最後はねえ・・・ なんか微妙でした。
 
この映画自体が微妙なものでもあります。  感動したいって思っていくと、違うんだなあ。
ソロモンの人生自体は変わりますが、 南北戦争北軍が勝利するまではー 黒人たちの運命は変わらない。
パッツィーがどうなっちゃったのかも・・・ もう知るすべはないですかねえ。
 
 
天国から地獄に落ちた主人公の過酷な人生を一緒にたどり、歴史の汚点、人間の本質とは考えたり(?)、
まあ人間ドラマに浸りましょうって。
 
最後に/・・・・ ブラッド・ピットがまさか、あそこに出てくるとはー   美味しいトコどり~!
 
 
 
長くなりました。。