見てるだけで泣きたくなる・・・「デトロイト」

それではそろそろ今年1発目の鑑賞映画の話です。  3月といえばアカデミー賞の季節でもあります。
当初は、この映画もアカデミー候補確実っなんて、謳われてたようですが、どうもはずれてしまったそうで。
なぜ、これが外れてしまったのかー なんて記事もあったくらい、ちょっと考えさせる映画です。。
女性ながら硬派な社会派エンターティメント作品を撮り続けるキャスリン・ビグロー監督、今回は、
1967年、デトロイトで起きた実際の大暴動と、その一夜に起きたある事件・・・ 実際にあったことを、
緊迫感ある映像と、群像劇に仕立てております。。
背景にあるのは、人種問題でしょうか。 特に60年代っちゃあねえ。
こういう歴史があるから、人種問題になるとアメリカはいつも大騒動になっちゃうのかな。。 それにしても・・・

すごいことになってました。 最初の暴動もね。 きっかけは、違法酒場の摘発。
これ自体はそんな悪いことじゃないんでしょうが、やっぱりこれも人種差別だ~ってか、日頃のうっぷんも
たまってた回りの人々が警官に石を投げ始めたことから、どんどんエスカレートしていく。
なんでここまでなるか~ ってなくらい、暴動は広がりまるでシビルウォーですわ。
実際に警官だけでは収まらず、軍まで発動される騒ぎとなる。。。



そんな中、本作の主人公たち、黒人歌手グループのドラマティックスの面々は、レコード会社との契約を
取るべくデトロイトのクラブを訪れていた。  まさにこれからパフォーマンスをするところで、
暴動悪化に伴いパフォーマンスは中止、観客と共に、クラブを追い出されてしまいます。
しかし乗ったバスも暴動に巻き込まれ、ちりじりになって、ボーカルのラリーとフレドはモーテルに
逃げ込みます。  外の暴動とは裏腹、モーテルの中は普段と変わらずの平和、
まあ、ここで様子を見て、落ち着いたら町を離れようってとこでした。
ナンパした女の子たちとも仲良くしちゃって、まあいいじゃないのってな感じで、このまま平和に時間は
過ぎていくものーと思っていたことでしょうが。。。。 まさか、それが地獄の一夜になってしまうとは。



ナンパした女の子たちは、すでに他の黒人ボーイとも仲良くしちゃって、(彼女たちにとっても、こんな夜だ、
せめて中じゃ楽しくやろうぜってとこだったかもねえ。)、その中の一人がー 事もあろうに、このさなか、
悪ふざけでスターターピストル(空砲ですな)を警官のいる表に向けて撃ってしまい・・・・
あ~ これがこれがそもそもの大間違いじゃありました。 
(ほんとに・・・こういうバカいるけどさ・・・ 絶対にダメよ、場をわきまえろって。)
中に狙撃手がいるって、駆けつけた警官・・・・ これがまた最悪のめぐり合わせでしたっ!

はい・・・ ここからです・・・ この映画の一番の見せ場になる最悪の・・・地獄の一夜。
ここに至るまでには、いちおう主要登場人物の背景をそこそこ描いておりますが。
この駆けつけた警官が問題児。 もともと差別意識の強いやつなんでしょうか。
丸腰で逃げる黒人窃盗犯を、背中から撃つー ってさあ。。 いくら何でも酷いじゃないの~
(窃盗犯死亡。。 本来ならこんな警官停職になるでしょうが、非常事態につき駆り出される)
そして、コイツが来ちゃったんですよ~  

一度見たらちょっと忘れらないような、への字まゆげの独特な変な顔してます。 (ただただ憎らしい)

悪ふざけをしてたカールは早速撃ち殺されるけど、(これはちょっと自業自得かもしれないが・・)
残されたラリーを含めた黒人ボーイズと一緒だった女の子たちには、執拗な尋問が繰り返されます。
尋問・・? いや、これは尋問というより拷問かもしれない。 (実際殴ってるし~) 

これがもう延々と続く・・・・  いくら犯人捜しされても、そもそもいないんだから応えようもない。
なのに、オマエらが答えるまでは、絶対許さねえぞってな警官フィリップよ。
壁に手をつけられ、背中に銃をつきつけられ・・・ この人たちって警官なの?
まるで、テロリストや、それこそ何かの犯人の人質にされてるよう。 
男の子たちも恐怖で泣いちゃってるけど、見てるこっちも辛くなる。。
どっかで鼻すすってる音が聞こえてきたけど・・・ 観客も泣いちゃうわな。 これ。


誰かフィリップを止めるやつはいないのかよ~ って思うけど、相棒は便乗するしさ。
応援で来たやつは、関わりたくないって感じで遠巻きに見てるし・・・ 
唯一黒人のガードマンもいたけど、(新スターフォーズに出てた主演の人です。)、彼だって、
助けたいけど、自分もどうなっちゃうかわからないから、早々手は出せない。
なんとか、なんとかちょっとでも、助け舟を出してはいるんだけどね・・・・ 

とにかく見てる私たちにも、辛い時間が流れますの・・・・ (さすがだねえ、ビグロー監督ってのか)

結局・・・ この晩、罪もない3人の黒人ボーイズが亡くなります・・・・ 

この憎たらしいフィリップ、 ウィル・ポールターって役者さんですが、もしアカデミー賞候補だったら、
この人、主演男優賞になったろうなあって、思うほど、ハマりで恐いわ。

その後日談も出てくるのですが。。。。  人生がまるで変わっちゃった人もいます。
彼にとっては永遠に忘れられないトラウマでしょうな。 
人間の愚かさ、怖さも見えました。  暴動そのものより、そこに焦点を合わせたとこが、
まあ、この映画のよかったのか、どうなのか。  でも、こっちも忘れないね。

まあ・・・ 見てていい気持ちはしないけど、ずっしりきました。  

アカデミー賞候補になってる「スリービルボード」ってのも見たいけど、こっちも重くなりそう・・・

ちなみに私が前に書いた、まさかの「ゲットアウト」も、なんと作品賞候補ですっ!

えっ、え~  デトロイトが入らないで、なぜに「ゲットアウト」が?! わかりません・・・・
でも、面白かったよ、ゲットアウト。  午後ローでやりそうなB級感もあるんだけどさ。

まあ、そんなとこで。 今日もお休みだよ~  いつまで続く・・・・