映画3連発 ② 「少年H」

私はイマイチ小説を読まないもので、原作も知らなかった。  知ってる方はもう知ってるでしょう。
妹尾河童さんのベストセラー小説、「少年H」の映画です。  そもそもこういう映画自体、あまり映画館に足を
運ぶ私じゃないんですが、今回は水谷夫妻の共演と番宣(映画宣か。)にやられちゃったかな。
 
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はい。 写真の通りほんとに、仲良くいい家族ですなあ。  少年Hというのは「肇」くんのHらしいですね。
ーってこの時代に、そもそもHなんてアルファベットの頭文字をセーターに刺繍するおうちって・・・
ええ、この一家って結構当時でいう「ハイカラ」じゃないですか。  というか、神戸の街自体も。
結構外人さんとかが、身近にいられてすごいグローバル。  このHくんの仕立て屋のお父さんも、今でいう
外人セレブの皆さんがお得意さま。  お客さまのとこに行く時は、ちゃんと正装してくんですねえ~
Hくんも、時々一緒にくっついて、ちゃっかりケーキなんぞを頂いちゃってます。
お母さんはクリスチャンで、日曜日には家族そろって教会に行ったり、まあ、なかなかハイカラな家庭ですわ。
 
子供たちも元気に育ち、Hくんは時々お母さんの言うことも聞かずに、友達と海で遊んじゃったり、冒頭は、
昭和の豊かさみたいのを感じました。  最近私は昭和時代に戻りたい・・・なんて思っちゃったりしてますから。
 
 
それが「戦争」ってのが近づくにしたがって様子は一変。 徐々に回りを覆う空気が重たくなってきます。。
ええ・・・ あの戦争時代ってさ。  戦争そのもの、敵の攻撃も恐ろしいかもしれませんが、それ以上に(?)
私がイヤだなあ~ 恐いな~ って思ったのは、日本そのものの空気です。
Hくんの近所のうどん屋のお兄さんは、「アカ」だと言われ、(共産主義ってことね。)警察にしょっぴかれるし。
Hくんの家でも、教会に石が投げられたり、外人つきあいも多かったことで、お父さんはスパイ容疑をかけられ、
(スパイなんて早々あるもんかよ~ 仕立て屋が何を知ってるんだよって。)、警察に連行されて尋問・・・ってか、
あれイジメ・・ 拷問じゃないですかあ。  Hくんも学校の机にいらぬ落書きなどされたりします。
ほんと、やだわ。  
 
しかし、そんな中でも、時代にもまれながらも、一家はなんとか明るくのりきっていく。。。 
 
 
水谷夫妻の好演もひかります。  いい家族・・ いい夫婦ですわ。
お母さんはどちらかというと、ちゃきちゃき、思ったことは割となんでも言っちゃう、実行する感じですが、
その分、お父さんは冷静に思慮深く、普段は温厚で何も余計なことも言わないけど、ここぞと言う時には、
さすが一家の長って感じで、家族を諭し守ろうとする。 
水谷お父さん、ステキ。  こんなお父さんいたらいいなあ~って思いました。
 
 
少年Hは、どちらかというと、このお母さんの性格に近いかな・・?  中学に行っても余計な事言って、
教官に目をつけられちゃったり。  あの殴るの、痛そう~  ほんと最悪だねっ、あの頃の日本って。 ><
 
この少年Hくんをはじめ、妹の好子ちゃんやら、お友達の少年たちやら・・・ 子役も好演してます。
Hくんもなかなか存在感ありますよ~  
 
ところどころに戦争の悲惨さや、最後の方で神戸大空襲などのシーンもありますが・・・
この映画は、戦争映画じゃないから。  あくまでもその時代を生きた一家を通しての物語。
家族愛やら、少年たちの友情にも、ホロっとさせられます。
 
 
けして暗い映画じゃなくてよかったです。  何を失おうと家族さえあれば、またやり直せる。
そこに希望が続いていく・・・・    
 
いい映画でした。    
 
では、いよいよラストはまた後ほど。