私はイマイチ小説を読まないもので、原作も知らなかった。 知ってる方はもう知ってるでしょう。
妹尾河童さんのベストセラー小説、「少年H」の映画です。 そもそもこういう映画自体、あまり映画館に足を
運ぶ私じゃないんですが、今回は水谷夫妻の共演と番宣(映画宣か。)にやられちゃったかな。
はい。 写真の通りほんとに、仲良くいい家族ですなあ。 少年Hというのは「肇」くんのHらしいですね。
ーってこの時代に、そもそもHなんてアルファベットの頭文字をセーターに刺繍するおうちって・・・
ええ、この一家って結構当時でいう「ハイカラ」じゃないですか。 というか、神戸の街自体も。
結構外人さんとかが、身近にいられてすごいグローバル。 このHくんの仕立て屋のお父さんも、今でいう
外人セレブの皆さんがお得意さま。 お客さまのとこに行く時は、ちゃんと正装してくんですねえ~
Hくんも、時々一緒にくっついて、ちゃっかりケーキなんぞを頂いちゃってます。
お母さんはクリスチャンで、日曜日には家族そろって教会に行ったり、まあ、なかなかハイカラな家庭ですわ。
子供たちも元気に育ち、Hくんは時々お母さんの言うことも聞かずに、友達と海で遊んじゃったり、冒頭は、
昭和の豊かさみたいのを感じました。 最近私は昭和時代に戻りたい・・・なんて思っちゃったりしてますから。
それが「戦争」ってのが近づくにしたがって様子は一変。 徐々に回りを覆う空気が重たくなってきます。。
ええ・・・ あの戦争時代ってさ。 戦争そのもの、敵の攻撃も恐ろしいかもしれませんが、それ以上に(?)
私がイヤだなあ~ 恐いな~ って思ったのは、日本そのものの空気です。
Hくんの家でも、教会に石が投げられたり、外人つきあいも多かったことで、お父さんはスパイ容疑をかけられ、
(スパイなんて早々あるもんかよ~ 仕立て屋が何を知ってるんだよって。)、警察に連行されて尋問・・・ってか、
あれイジメ・・ 拷問じゃないですかあ。 Hくんも学校の机にいらぬ落書きなどされたりします。
ほんと、やだわ。
しかし、そんな中でも、時代にもまれながらも、一家はなんとか明るくのりきっていく。。。
水谷夫妻の好演もひかります。 いい家族・・ いい夫婦ですわ。
お母さんはどちらかというと、ちゃきちゃき、思ったことは割となんでも言っちゃう、実行する感じですが、
その分、お父さんは冷静に思慮深く、普段は温厚で何も余計なことも言わないけど、ここぞと言う時には、
さすが一家の長って感じで、家族を諭し守ろうとする。
水谷お父さん、ステキ。 こんなお父さんいたらいいなあ~って思いました。
少年Hは、どちらかというと、このお母さんの性格に近いかな・・? 中学に行っても余計な事言って、
教官に目をつけられちゃったり。 あの殴るの、痛そう~ ほんと最悪だねっ、あの頃の日本って。 ><
この少年Hくんをはじめ、妹の好子ちゃんやら、お友達の少年たちやら・・・ 子役も好演してます。
Hくんもなかなか存在感ありますよ~
ところどころに戦争の悲惨さや、最後の方で神戸大空襲などのシーンもありますが・・・
この映画は、戦争映画じゃないから。 あくまでもその時代を生きた一家を通しての物語。
家族愛やら、少年たちの友情にも、ホロっとさせられます。
けして暗い映画じゃなくてよかったです。 何を失おうと家族さえあれば、またやり直せる。
そこに希望が続いていく・・・・
いい映画でした。
では、いよいよラストはまた後ほど。