サイコスリラー読みながら・・ 心の闇って?

いつもTVばっか見てると思うでしょう? でも本だって読むんですよ。 まあサスペンス小説みたいなのが多いんだけど。 でも、この本ってのも、結構当たりはずれがあって、期待しないで借りた本が予想外おもしろかったりすると、なにげに嬉しい。
と、いうわけで今回読んだ「火の粉」は当たりだったかも。 雫井脩介さん著・幻冬舎文庫

簡単に言うとこんな感じ。 元裁判官・梶間勲の隣家に2年前に自らが無罪判決を下した容疑者、武内真伍が超してきた。 この武内、再会の時から愛想よく、気の利いた贈り物、ストレスのたまってる奥さまの話相手、老人介護のお手伝いっと、なんていい人ってな具合で、梶間家の人の心を掴んで、梶間家に浸透していくんですが、
周辺では次々と不可解な事件が起こり・・・ やがて明かされる彼の秘密、映画にしてもおもしろいくらいな壮絶な結末っと。。 サスペンス好きな私を楽しませてくれました。
中盤、ちょっと暗い気持ちにもさせながらね。 というのは、これクライムサスペンスというより、サイコサスペンスなんだよな。 この武内が裁判にかけられた一家惨殺事件の真犯人だったかどうかを問うものでもなく、
(ま、ちょっとはありますが。)、むしろ心の闇ってんですか・・


最近、よく聞きますよね。 理解しがたい殺人事件なんかが起こるたびに、犯人の心の闇は・・って。
こないだ80年代に起こった連続幼女殺害事件の犯人が死刑になった時も、犯人の心の闇はついに解明されませんでした・・なんて、どこかのニュースで言ってたけど、心の闇って何だろう?
そもそも、メディアが言うような解明なんてできるもんなのでしょうか・・?


この登場人物、武内ってのも、言ってしまうと、ちょっと信じられないタイプの人なんですよ。
「私は殺人鬼を解き放ってしまったか・・」って書いてあるが、殺人鬼というのは、ちと違うと思う。
殺人鬼っていうのは、そもそも人殺しを楽しむ輩でしょう? そうじゃないんだよね・・
武内が梶間家に入っていったのも、悪意とは別物なんだ。。
と、あんまり言ってしまうと、これからの読者に悪いので避けましょう。


あのー、ラストフレンズの錦戸くんが演じたDV男いたじゃないすか。 彼は最後に「ミチルを自由にしてあげるにはこれしかない。」って、自殺してしまったんだけど、決していいとは言えないけど、本人が言うように、それしかなかったのかなあ・・とふと思ってしまった。
いちおう普通の日常生活を送っている、一見したところは好青年。 彼もうすうす自分の愚かさもわかってるんだけど、止められない。 彼の心の闇は何だったのでしょう。 でもこれを解き明かそう、彼を救ってあげようと思ったら、やっぱり複数の人間が深く関わっていかなきゃならないかもしれない。。
あのシェアハウスの若者たちも、そこまで度量はなかったよね。
それってこの現代社会じゃ難しいだろうなあ。 せいぜい自分がそんな人と出くわしてしまったら、早めに逃げる
しかできないかもしれない。。


なんだか昨今の事件のことも思い出しながら、本読んで、う~ん・・って考えてしまいましたの。
 

これは時代のせい? それとも個の問題? 若者だけじゃなく、お爺ちゃんが自分の家族を殺しちゃったって事件もありましたね。 かわいい盛りの4才の孫にまで手をかけるとは・・・ 
信じがたい動機だよ。 お爺ちゃんの心の闇っての、また解明しようとするのですか・・?

こんな事件を起こさせない、こういう人たちを救えることってないのかな。
それには心の闇を解明する・・?? アハ、堂々めぐり。

っと、答えがでないから。 とりあえず、今日はジム。 体動かしてきます。